= 小型DCソレノイドの技術資料 =
1、吸引力と鉄心形状
DCソレノイドの吸引力は、鉄心形状により特徴の有るカーブとなります。
比較として型式名 KSP-334 (鉄心径φ2.6mm)のデータを下記グラフに掲載します。
コイル抵抗は3Ω(於20℃)で、テーパー形状は段付及びテーパーの2種類です。
テーパータイプはストローク全域で効率の良い力量となりますが、弱点として
長い距離からの移動では0mm位置まで到達しますが、0mm近傍からのスタートでは前進力は急激に低下します。この場合はフラットタイプの鉄心が適しています。
吸引動作終了時(ストローク0mm位置で)鉄心の「食い付き」現象が生じ、鉄心が戻らない場合があります。
「食い付き」回避の為、鉄心動作を完全密着前に止める(ストッパーを設ける)等の工夫が考えられます。
一方、段付きタイプには食い付きの少ない安心感があります。
2、動作時間
小型プッシュソレノイド KSP-335P の動作時間を下図に示します。
(レーザー変位センサー使用)
鉄心動作は下から上。戻しバネ無し時の吸引動作です。
小型ソレノイド
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プッシュソレノイド
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自己保持ソレノイド
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[ 使用上のご注意 ]
・弊社ソレノイドは直流タイプです。交流では危険ですのでご使用出来ません。
・通電条件によっては発熱により高温になる場合がありますのでご注意下さい。
[標準コイル仕様]
- コイル直流抵抗は標準で3Ω±5%です。
- 銅線の温度指数は120℃です。
- リード線は、コイル銅線引き出しタイプです。長さは標準で30mmで、先端には予備半田を行っています。
- 鉄心(プランジャ)の表面処理は、標準でニッケルメッキとなっています。
- 本技術資料は得意先仕様の一部となっています。記載事項は予告無しに変更する場合があります。
ソレノイドQ&A
通電極性
DCソレノイドには直流印加時+−の区別は特にありません。複数個同時駆動の場合は極性を揃えた方が好ましい場合もあります。一方自己保持ソレノイドの場合は吸引時と離反時で通電極性が異なってきます。
構 成
コイル本体と鉄心から成り立っています。コイル本体に鉄心を下図矢印の方向に差し込んで使用します。
無通電時の位置
コイル無通電時は、鉄心に対して吸引力は発生していません。その為鉄心はフリーの状態になっています。
ご使用の際には
・鉄心の初期位置を規定する役目のストッパー
及び
・ストッパーに鉄心を留め置く役目のバネ
が必要になります。
バ ネ
戻しバネの形状は圧縮コイルバネが一般的です。
バネ取付位置は上図が一般的ですが、ご使用する負荷に戻し力を持たせて、無通電時(通電オフ時)の復帰力とすることも考えられます。
プル動作
コイルに通電すると、磁力により鉄心はストッパーを離れ、コイル内部に引き込まれて停止します。
この鉄心移動時の力(吸引力)で負荷が移動します。負荷は鉄心に引かれて(プル)動く形になります。
この状態から通電をオフすると、戻しバネの力により鉄心はストッパーの位置(初期位置)まで戻され、その力で負荷も戻ることになります。
吸引力
コイルに通電すると、磁力により鉄心はストッパーを離れ、コイル内部に引き込まれて停止します。
この鉄心移動時の力(吸引力)で負荷が移動します
この状態から通電をオフすると、戻しバネの力により鉄心はストッパーの位置(初期位置)まで戻され、同時に負荷も戻ることになります。
図面及び特性表の表示
外形図の鉄心位置は、コイルに通電し鉄心が完全にコイル内部に入りきった位置をしましています。
特性グラフではこの位置をストローク0mmとして表示しています。
プッシュソレノイド
コイル通電時、プッシュ方向の力を利用するタイプです。